みなさんこんにちは、ポン太です。
今日は公務員試験から少し離れて「簿記」について説明したいと思います。
この記事の内容は、簿記の2級や3級をお持ちの方は、当たり前すぎる内容かもしれませんが、簿記って入り口で考え方をつまづくと本当に訳わかんなくなってしまうんですよね。
2級では工業簿記も必要となりますが、今回は社会人になった際などに実務で使う・読むことが多いであろう「商業簿記」について説明します。
少しボリュームが多くなってしまうかもしれませんが、私は3級に一度落ちてから再度勉強し理解を深めて、3級を飛ばして2級に一発合格しましたので、初学者の方の気持ちが理解できているつもりです。
はじめての方にも理解頂けるよう心がけて説明したいと思います。ぜひ最後までお付き合いください。
また、勘定科目の名前など初学者には訳のわからない単語も数多く出てくるかと思いますが、それはここで覚える必要はないので、(もし簿記を受けるなら)本格的に試験勉強を始めるときに覚えていきましょう。
いくつかの記事でも言ってますが、公務員試験の勉強を本格的に開始している方はそちらを優先してください。笑
目次
簿記とは、会社などの取引毎にお金のやり取りを記録し、会社や事業のお金の出入り、財産の残高などを記載・記録することから始まります。
これを「仕訳(しわけ)」といいます。
一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
「仕分け」とは違いますよ。
この仕訳でお金の出入りや財産の残高を記載・記録し、最終的に利益の計算、財産(資産と負債)の残高が分かる損益計算書・貸借対照表というものを年度末(決算)に作成することが最終的な目的です。(企業によっては、年に複数回決算を行う場合もあります。)
恐らくこの言葉を聞かされても全くなんのことか分からない方も多いと思いますので、一つずつ説明したいと思います。
簿記は基本的に企業や個人事業主が行うものです。
さきほどの説明とは順序が逆になりますが、まず損益計算書と貸借対照表についてご説明したほうがわかりやすかと思いますのでそちらを説明してから、具体例(仕訳など)に入りたいと思います。
簿記では基本的に以下のような図を用います。
借方、貸方というのは、今の段階では、仕訳をする際に左は借方、右は貸方であるというくらいで考えていただければ結構です。(とうか、ここから入ると混乱する人もいると思うのでいったんスルーでもいいくらいです。)
覚え方としては、「かりかた」の「り」2画目が左にはねているため左側、「かしかた」の「し」は右にはねているので右側というのがメジャーな覚えかたですね。
これはなんとなくイメージは沸きやすいのではないでしょうか。
100万円の売り上げに対し、80万の費用がかかれば差引20万の利益ですよね。
費用の方が多ければ、利益ではなく貸方(右側)に損が計上されることになりますね。
後に説明する仕訳の部分で「費用勘定」や「収益勘定」という言葉が出てくることがありますので、頭の片隅に置いておいてください。
このように決算の期間が1年だとすれば、1年の収支状況(損益)を示すのが損益計算書です。平たく言えば、利益がいくら?もしくは損失がいくら?ということですね。
これもこの図(貸借対照表)を見れば理解しやすいかなと思いますが、5,000万円の預金と3,000万円の現金(資産)を持っていて、2,000万円の借金(負債)があれば、差引6,000万円(純資産)ですよね。
超簡単に言ってしまえば、この差引6,000万円がこの企業の価値のような考えになります。(本来はもっと細かな計算などをして企業価値を算定しますし、上場会社なんかは株式で時価総額が変動したりします。)
逆に、借金の方が多ければ、基本的には「債務超過」という状態になりますね。
また、資産には固定資産や流動資産、負債や純資産にも本来は細かな分類がありますが、ここでは説明を省きます。
損益対照表に対して、貸借対照表は決算の時点での財務状況・財政状況を示すものになります。(簡単に言えば、資産と負債の比較ですね)
なんとなく頭に入ってきたでしょうか。
分かりづらいという方いらっしゃったらすみません、また分かりやすく説明できるよう精進します。
違いとしては、損益計算書がその名のとおり損益を示すというのに対し、貸借対照表が財政状況を示すと言う内容そのものの違いもありますし、
損益計算書は1年間を通した収益と費用を比較したの損益を示すのに対し、貸借対照表は1年間の終わり(決算時点)の一時点での資産・負債状況(財政状況)を示すという部分でも違いがありますね。
まだここではピンとこないかもしれませんが、最後までお読みいただければ全体の概要がぼんやりとでも掴めるように以下記載していきますね。
仕訳とは、先程記載したとおり、取引毎にお金の出入りなどを記録するものです。
一つ例を見てみましょう。
例:駄菓子屋さんが100円のお菓子を売り、現金で100円をもらった。
この場合の仕訳は、以下のとおりになります。(消費税はいったん無視)
現金(資産勘定) 100 売上(収益勘定) 100
これを見て上の損益計算書と貸借対照表の図が浮かんできた方はパーフェクトです。
先程申し上げたとおり、損益計算書や貸借対照表は決算時に作成するため、その場でその図に当てはめる訳ではないのですが、最終的には損益計算書・貸借対照表に反映される(可能性がある)んですよね。
可能性があるというのは、例えばこの売り上げの後、「店のトイレットペーパーがなくなったので100円(安すぎ問題笑)で買いに行こう」となれば、
消耗品費(費用勘定)100 現金(資産勘定の減少)100
となるわけです。
先程資産勘定は左側(借方)と記載しましたが、それが減少する際は逆の右側(貸方)に記載することで相殺するんですね。
そのため、上の仕訳で出てきた現金は相殺され、貸借対照表には反映されないことになります。(現金もこの100円だけではないので、表現は正しくないかもしれませんが)
さらには消耗品費は費用勘定ですが、決算時に一部が残っていれば資産として振替が必要になる場合がある等、複雑な部分が数多くあるんですね。
なので、以下身近に感じれるよう、家計を参考に簡略化した一連の流れを紹介してみたいと思います。
ただし、しつこいようですが、企業等が決算を行うことが主な目的であるため、若干本筋と違う部分が出てくるかもしれませんのでご注意ください。仕組みの理解の補助として捕らえていただけると幸いです。
と言いつつ、私は簿記に近い方法で家計簿をつけています。やり方さえ間違えなければ、貯蓄の一助にもなると思うので、参考程度に見てみてください。
以下のような家計の1ヶ月間を参考に考えてみたいと思います。1ヶ月の決算とお考えください。
わかりやすくするため、以下のようなマイルールで進めますので、注意してください。
※建物は減価償却等を考えると分かりづらくなるので、今回は建物はないものと考えます。
※借入金の利息も、考え始めると複雑になるので、今回は無視します。
※有価証券の評価替等も無視します。
→このような感じで進めますので、本当に簿記の流れの参考程度にしてください。
2019年1月1日の財政状況を以下のように仮定します。
資産
現金 500,000
預貯金 2,000,000
土地 10,000,000
有価証券(株式)1,000,000
負債
借入金(借金) △5,000,000(毎月5万円ずつ返済)
では、まず2019/1/1現在の財政状況を貸借対照表を使って考えてみましょう。
かなり大雑把ですが、この家庭は1/1現在、差引8,500,000の価値に値する資産を有していることになります。
上記の通り、土地や有価証券の評価替え、受取利息や支払利息は無視していますので、簿記に精通している方には以下違和感があるかもしれませんがご容赦ください。(ごめんなさい)
また、商業・工業簿記で使わない勝手な勘定科目を使いますのでご理解ください。試験などでは使えないものもありますので注意してください。
では、以下1ヶ月のイベント(出費、収入)毎に仕訳をしたいと思います。
1/1 親戚にお年玉を現金で50,000円配ります。(雑費とします)
雑費(費用)50,000 現金(資産減少)50,000
1/10 (現実的ではないですが)食材を一ヶ月分まとめて70,000円分買います。
食費(費用)70,000 現金(資産減少)70,000
1/15 給料日 500,000円が預貯金に入ります。企業の売上のような感覚で考えます。
預貯金(資産)500,000 給料(収益)500,000
1/16 給料が入ったので、お小遣いを夫婦で3万円ずつ計6万銀行口座から出します。(ここでは小遣いは夫婦個々のお金として家計とは別で考えます。)
小遣い出費(費用)60,000 預貯金(資産減少)60,000
1/25 借入金の返済日。銀行口座から5万円引き落とされます。
借入金(負債減少)50,000 預貯金(資産減少)50,000
計算が複雑になるのでイベントはこれくらいにしておきましょう。
本来は仕訳を行うことで勘定科目毎に書類(いわゆる帳簿)をつくり、総勘定元帳と呼ばれる決算の元となる「主要簿」などから損益計算書や貸借対照表を作成のですが、今回は数も少ないので横着して上の仕訳から直接損益計算書と貸借対照表を作成してしまいましょう。笑
まずは損益計算書から。
収益は給料の500,000円のみですね。
対して費用は、雑費・食費・小遣いと計180,000円となります。
これを損益計算書で表してみましょう。
この1ヶ月で32万円の利益が出たことがわかりますね。
ここで勘の良い方は、じゃあ貸借対照表の正味資産も320,000あがるんじゃね?と気付くかもしれません。
すばらしいです。その通りなんですね。
仕組みを考えれば当然なんですが、「損益計算書で使う費用勘定」と、「貸借対照表で使う資産勘定の減少」なんかが同じ仕訳で左右に出てきたりして、最初のうちは訳がわかりません。
ただ、練習を重ねていくと、損益計算書と貸借対照表は「こうつながってるのか!」と分かる時が来るはずです。
その一助になればと思い、この’超’簡易的、勘定科目も一部試験には出ない身近に感じるもので説明してみました。
ちなみに、1/31現在の貸借対照表はこのとおりです。
借入金の返済は費用ではないの?と思った方もいらっしゃると思いますが、負債として借入金を計上しているため、借入金勘定を減らす、という形で仕訳をします。(ちなみに支払利息は費用になります。)
これについては機会があればまた説明したいと思います。
貸借対照表に戻りますが、資産計13,770,000-負債4,950,000=純資産8,820,000円ですね。
1/1現在の純資産(という言葉が家計において正しいかわかりませんが)8,500,000円と比べると、上記の損益計算書の利益分320,000円が増えているわけです。
このように損益計算書と貸借対照表は相関性があるんですね。
この相関性の原理というか仕組みを文字で説明すると、とんでもない文字数になってしまいますので説明は省きますが、この図などで少しでも簿記の世界に入り込んで頂ければ幸いです。
少し長めの説明になってしまいましたがいかがでしたでしょうか。
冒頭で記したとおり、簿記は、職種によっては就活で歓迎されたり、大学で単位を取れる場合もあるということで資格取得を目指す方が多い試験だと思います。
資格試験は他にもたくさんありますが、その中でも指折りの人気資格です。
ただし、簿記に関しては、字面の仕訳を覚えるだけでは、恐らく問題や試験に対応できないと思います。
ですが、なぜか「簿記は仕訳が命!」というような風潮があります。
確かに仕訳を覚えることは必須なんですが、上記のような仕組みを理解して覚えなければ、何をやってるか分からず、記憶した仕訳をアウトプットし、損益計算書や貸借対照表を作成するのに大変苦労することになると思います。
ぜひ、基本の「き」である仕組みを理解して、簿記の勉強に挑んでいただければと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!