※この記事は令和元年分の所得に適用される法令で記載しています。令和2年分からは給与所得控除などが変わりますのでご注意ください。
皆さんこんにちは、ポン太です。
このブログでは、公務員試験や公務員の仕事について解説することを主にしていますが、今回はアルバイトでよく聞くワードについてお話したいと思います。
公務員試験を受ける上で、ストレス解消は重要なポイントの一つです。
就職できるかどうか、の試験ですし、勉強量も確保しなければ・・・といろいろと不安が付きまといます。
世にはいろいろなストレス解消法が出回ってますし、皆さんが各々ストレス解消法を持っていれば、それがそれをしてもらうのが一番です。
ただ、公務員試験という環境の中で、今までのストレス解消法が継続し難いという方もいらっしゃると思います。
旅行や山登り等、時間がかかるものは避けたい気持ちもありますよね。
そこで、意外かもしれませんが、オススメしたいのがアルバイトです。
恐らく公務員試験の対策を本格的にはじめるのは大学3年から、という方が多いと思います。
その頃には、バイトにも慣れている方が多いと思います。
私も、イタリアンでバイトをしてましたが、大学3年の頃にはバイト仲間と会うのが楽しく、試験勉強を始めるまでよりは出勤を減らしたものの、大学4年の春までは継続的に出勤していました。
そんなアルバイトでよく聞くワードが「103万円」です。
その103万について今日は解説したいと思います。
大学2年生や4年生もよく関わってくる問題かと思いますので、ぜひご覧になってください。
目次
みなさん、「103万円」がどのような意味合いで言われているかご存知でしょうか。
アルバイトがはじめての経験という方は、あまり意識したことがないと思います。
103万というのは、主に2つの意味がありまして、
「税金(所得税)がかかるか」と「扶養控除の対象となるか」です。
恐らくはじめて聞く方は何をいってるか全くわからないと思います。
というか、この二つ、主語が違ってくるんですね。それが余計に話をややこしくしています。
以下詳しく説明していきます。
皆さんが耳をふさぎたくなるワードかもしれませんが、103万円は1年間(1月から12月の暦年)の収入として働いているあなたに所得税がかかるかどうかのワードとして扱われることが多々あります。
※給与所得の方。報酬や他の所得は計算が異なりますのでご注意ください。
そもそも所得税がなに?って話ですが、所得税は平たくいえば、皆さんが稼いだお金、その儲け分(かなり大雑把)にかかると考えていただければいいかと思います。
あまり意識したことがないかもしれませんが、所得税がどのように計算されるかはご存知でしょうか。
その計算には複数の計算段階があります。
まず「収入金額」から経費を差し引いて「税金の計算で使う儲け分(所得金額)」を出します。
収入金額はいわゆる税込などと言われますが、源泉徴収や社会保険料などが引かれる前の金額を指します。
なので、手取りとは違うことをご注意ください。
もし昨年の源泉徴収票をお持ちであれば、「収入金額」と書いてある欄がそうです。
今回は平たく言いますが、税金の計算でつかう「儲け分」のような意味あいになってきます。
基本的には、上記の「収入金額」から「経費」を引いたものになります。
経費といっても、自分の生活費などが経費になるわけではありません。
経費といっても、アルバイト(給与所得者)には経費ってあんまり必要ないですよね。会社の備品購入に自分のお金を使うわけでもないですし。
そこで認められているのが「給与所得控除」という計算方法です。
給与の収入金額によって、自動的に経費相当の計算が決まる仕組みです。
この経費相当金額が、収入金額1,625,000円までの方は65万円と決まっているのです。
ではここで収入金額103万円の方の所得金額を算出してみましょう。
103万円(収入)-65万円(経費)=38万円(所得)
簡単ですね。
ここから「所得控除」といわれるものを差し引いたものが、「課税所得金額」と言われるものです。
これも聞きなじみがないと思いますが、上の38万円から「所得控除」を差し引きます。
所得控除にはいろいろありますが、支払った社会保険料分は控除しましょうとか、医療費がたくさんかかったら、一部は考慮しましょうなどという制度です。
よく勘違いしやすいのが、 支払った社会保険料や医療費がそのままの金額で帰ってくるわけではなく、所得控除を差し引いて税率を掛けるので、税率分の節税効果ということになります。(この記事では影響が少ないので、詳しい説明はまたの機会に。)
その所得控除のなかで、誰しもが差し引くことができる、「基礎控除」というものが38万円あります。
では、上で計算した所得金額から、基礎控除を引いてみましょう。
38万円(所得)-38万円(基礎控除)=0円(課税所得)
これも簡単ですね。課税所得金額が0円になりました。
本来ここに税率をかけるなどし、計算したものが1年間の所得税となるのですが、0には何をかけても0ですね。
そのため、「収入金額」が103万円までであれば、働いた本人に所得税がかからないという意味で使われるのが1つ目の意味合いです。
※1 勤労学生控除や他の控除についてはここでは話がややこしくなるので割愛します。
※2 住民税は自治体によって基礎控除などが異なるため、100万円弱で課税となることが多いようです。
↑これらはまた機会があれば説明したいと思います。
大学生の皆さんは主に親御さんの扶養に入っていることがほとんどだと思います。
扶養というといろいろな意味がありますが、ここでは上記で説明した中の「所得控除」の中の「扶養控除」について説明したいと思います。
ここでの説明はあなた(働いた方・被扶養者)の所得によって、親御さんが扶養控除を受けられるか否かの話になってきます。
扶養控除とは、これも平たくいえば、同居(生計を一にすることが要件、厳密には同居が要件ではありませんが、多くの場合は同居していると思われます。)の家族を養っている場合、年齢などに応じて所得控除できますよ。というものです。
世のお父さんお母さんは、子供、自分の親などの面倒を見る場合、お金がかかっているんです。笑
いや、笑い事じゃないですね。改めて感謝しましょう。
扶養控除については、扶養に入る方が所得38万円以下である必要があります。(配偶者の場合配偶者特別控除という制度があり、それは少し話が違ってきます。)
また38万の金額がでてきましたね。
給与所得者(アルバイト)の所得38万円とは、収入がいくらになるでしょうか。
上の記事を読んでもらえれば一目瞭然、103万円なんですね。
つまり、1年(1月~12月)の間に103万円の給与収入を越して働いてしまった場合、扶養から外れてお父さんやお母さんの税金にも影響が出てしまうということです。
※ありえませんが、話を分かりやすくするため、所得控除は基礎控除38万円と扶養控除(あなた一人)のみの世界で話します。ご参考程度に。
1 扶養に入った場合
あなたの給与収入 103万円 あなたの所得税 0円
お父さんの給与収入 700万円 お父さんの所得税 398,700円
2 扶養から外れた場合
あなたの給与収入 110万円 あなたの所得税 3,500円(勤労学生控除はないものとして計算)
お父さんの給与収入 700万円 お父さんの所得税 527,300円
となります。あなたが稼いだ7万円(110万-103万円)以上のお父さんの負担が増えているのが分かります。
12万円強です。家族旅行にいけてしまいますね。
大学生の年齢ですと、扶養控除が63万円と、他の扶養控除に比べて高くなっているのも影響しています。
かなり計算を省いたのでこのとおりなるとは言い切れませんし、もちろん金額にもよりますが、103万円を超える場合、超えそうな場合は家族で一度相談したほうがよいでしょう。
また、お父さんお母さんの働いている会社独自の扶養手当がある場合もあります。この金額は規定次第かと思いますので、それもあわせて相談したほうがよいのではないでしょうか。
本日は「103万円」にフォーカスを当ててお話しました、いかがでしたでしょうか。
よく分からんかった、はじめて聞いたという方もこのボーダーラインの存在は知っておいて損はないと思います。
ただ、働くにあたっては、ほかに源泉徴収や年末調整、住民税、社会保険料の関係、扶養手当、勤労学生控除、アルバイトを2つ働くとどうなるのか・・・などいろいろと問題が絡んできます。
この記事でこれ以上説明するとややこしくなるので、また機会を設けて説明していければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!